Bloom ─ブルーム─
ちょっとだけ、直人の事、かっこいいって思った時期が、なかったわけじゃない。

すぐに2人の気持ちを知って、淡い恋心なんて一瞬で消え去ったけどさ。

でも、つかず離れずの3人の関係も悪くなかったんだ。

と言うより、居心地が良かった。

これからは、私が1歩引かなきゃならなくなるんだと思うと、少しだけ寂しさを覚える。

気づくと、私は屋上の扉の前まで来てしまっていた。

鍵がないと開くわけないのに。

「はぁ」

直人、告白できたかなぁ。

私は扉にもたれるようにそこに座り込んだ。

ふと横を見ると、ボールペンが1本落ちてる。

それくらい本当なら気にしないんだけど、そのボールペンには、大きく「2年3組 長谷川大樹」と記されているものだから。

「ぷぷッ」

吹き出してしまった。

スマホも置き忘れてたんだよね?

もしかして、かなりの忘れんぼう?だから名前つけてるのかな?

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