Bloom ─ブルーム─
けど、自転車を押しながら歩き出した長谷川大樹。
「乗らないんですか?」
「んー、じゃ、交代制にする?電信柱まで」
「かばん持ちじゃないんだから」
「ぶははっ。でも、これ、もう2ケツ無理かなーと思って」
「あー……」
確かに、今まで以上に右に傾いたハンドル。
これで2人、バランス取りながら乗るのは難しいかも。
「すいませんっ。私のせいで」
「いや、ハンドルは元々だし、里花ちゃんのせいじゃないよ?」
「でも……」
それに、よく見れば、長谷川大樹が足をかけていたのは、後輪の横にある、この少しすり減った頼りないネジだけだったらしい。
これじゃあ、もし後ろに乗ってたのが私なら、安全運転でも危うかったかも。
もしかして。
だから私にこがせたの?
私が振り落とされて怪我しないように?
何も言わずに?
それなのに私は気にせず超スピード出しちゃって。
「この先に、俺らのたまり場があるから、後、10分くらい。歩ける?」
「──はい」
「あれ?何?大人しくなっちゃった?もしかして珍しく気にしてる?」
「珍しくって、何ですかっ!」
珍しいと言えるほど知らないくせに。
でも自転車押しながら、また人の顔を簡単に覗き込むんだもん。
女の子扱いしてないかと思ったら本当は優しさの裏返しで、一言多いと思ったら落ち込んだ私を元気にさせる為だったりして。
この人の隣にいると、どんな顔してたらいいのかわかんなくなる。
「乗らないんですか?」
「んー、じゃ、交代制にする?電信柱まで」
「かばん持ちじゃないんだから」
「ぶははっ。でも、これ、もう2ケツ無理かなーと思って」
「あー……」
確かに、今まで以上に右に傾いたハンドル。
これで2人、バランス取りながら乗るのは難しいかも。
「すいませんっ。私のせいで」
「いや、ハンドルは元々だし、里花ちゃんのせいじゃないよ?」
「でも……」
それに、よく見れば、長谷川大樹が足をかけていたのは、後輪の横にある、この少しすり減った頼りないネジだけだったらしい。
これじゃあ、もし後ろに乗ってたのが私なら、安全運転でも危うかったかも。
もしかして。
だから私にこがせたの?
私が振り落とされて怪我しないように?
何も言わずに?
それなのに私は気にせず超スピード出しちゃって。
「この先に、俺らのたまり場があるから、後、10分くらい。歩ける?」
「──はい」
「あれ?何?大人しくなっちゃった?もしかして珍しく気にしてる?」
「珍しくって、何ですかっ!」
珍しいと言えるほど知らないくせに。
でも自転車押しながら、また人の顔を簡単に覗き込むんだもん。
女の子扱いしてないかと思ったら本当は優しさの裏返しで、一言多いと思ったら落ち込んだ私を元気にさせる為だったりして。
この人の隣にいると、どんな顔してたらいいのかわかんなくなる。