Bloom ─ブルーム─
「“ユキちゃんラーメン”2つね」

「あいよー」

私の隣に座った長谷川大樹はメニュー表に書かれた“ユキちゃんラーメン”というものを注文する。

何味だろ?

店内はちょうど夕飯前の静けさか、お客は他にいなかった。

ジューッと、厨房から聞こえる調理する音に、ラジオから流れる陽気な音楽。

ガハハハハと時折聞こえる上からの笑い声。

「な?可愛い素敵女子だったろ?」

隣から顔を近づけて、そっと耳打ちして笑うこの人。

そう言えば、ラーメン2つ頼んだよね?私の分?いや、食べれるけど。食べれるけどさ。

ここに自分がいることの違和感に突然気づいちゃったんだけど。

なんとなく流れでここまでついてきちゃったけど、いいのか?私。

「あの、友里亜達は?」

「ん?ああ、上にいるよ。健の部屋」

「えっと、友里亜は山本先輩に気に入られて、一緒に帰ってここにいるのはわかるんですけど、私、何でここにいるんでしょう?」

「ぶははっ。何でここにって!何でってそりゃ……」

大笑いした後、あれ?って顔して

「何でだっけ?」

長谷川大樹は私と同じようにキョトンとした。

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