Bloom ─ブルーム─
「花子はさ、俺の相談相手なんだよね。あ、なんかサミシー。多分犬に話しかけてる俺、周りから見てて結構怖かったよね?やべー」

恥ずかしそうに笑う長谷川大樹。

悩みなんか何もなくて、人生楽しくて仕方ないみたいに笑ってばかりいる人って思ってた。

けど、本当は心の奥に寂しさを秘めてて、それを隠す為に笑ってるのかも。

花子にどんな相談したんだろ?

「このラーメン、美味しい」

もう残り少なくなってから言うのも何だけど。

でも、これ以上この人を見つめ、話を聞いていたら、取り返しがつかない事になりそうで。

話題を変えた。

「だろ?つーか、気づくの遅くね?」

「気づいてたけど、言いそびれてたんです!」

「ここは、味噌が絶品なんだよ。由紀ちゃん特製だからね。メニューに自分の名前入れちゃってるし」

醤油はいまいちだけどって、またコソッと耳打ちして笑う。

何だろう、この人。

可愛くて人懐っこくて、けどたまにドSになって人を驚かす。

ステージではすごく上から目線で勝ち誇った顔してるのに、ステージを降りればアミダくじなんかで盛り上がれる超庶民で。

冷たいかと思ったら優しくて、優しいかと思ったら急にふざけたりして。

気のある素振りしたように見せかけて、実は全然意識なくて。

私の悩みは簡単に解決してくれるくらい頼もしいのに、本当は寂しがりやで、きっとどこかで包み込む温かさを探してる。

そして、柴犬が“スキ”な、人。

トクントクン、彼の隣で鳴り響く私の心の中に芽生えたのはきっと……。


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