Bloom ─ブルーム─
「なんだ、遅いと思ったらラーメン食ってたの?」

最後のラーメンを啜った時、ギターの声がすぐ後ろから聞こえてきた。

振り返ると、ギター、ドラム、友里亜、山本先輩の順に奥から靴を履いて出て来るのが見えた。

「うん。腹減ったから由紀ちゃんに作ってもらった。何、もー帰んの?」

「友里亜様のピアノのお稽古がこれからあるので、俺ら送って参りまーす」

だいぶ慣れたのか、友里亜も普通に笑ってるし、山本先輩もロボットが直ってた。

「上で何してたの?」

「Wii。友里亜ちゃん超本気で、ウケたー」

長谷川大樹の問いに山本先輩が答える。

「だって、たくさん振らないとうまく動かないから……」

「いや、こんぐらいでちゃんと反応するから!なのに、友里亜ちゃん、こーんぐらいめっちゃ振るから」

「そーそー、しかも首まで一緒に振ってんだもん。もっとお高い人かと思ったら超純粋!やっぱさ、俺と付き合わない?大事にするよ?」

山本先輩の声にギターが同意して、さらにさりげなく告ってる。

「ナナ」

それを聞いた長谷川大樹は、ギターに向かってボソッと呟いた。
< 67 / 315 >

この作品をシェア

pagetop