ペット溺愛中。
「わかった。早く帰ってきてね」

切ない声を出しながら、タマが俺の唇を舐めた。
怒るところだが、こんな悲しい顔されちゃ調子狂う。

「早く帰るから。いい子にしとけよ、タマ」

何故そうしたかも自分ではよくわからないが、俺はタマの頭を撫でていた。
きっと頭の形が良すぎて吸い寄せられたんだ。
なんと綺麗な丸頭だろうか。
そういうことにしておこう。



そうやって、その日の朝はタマを家に置いて家を出た。
なるべく早く帰ろう。
それしか頭になかった。
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