MAGIC HIGH SCHOOL ~第二章 円形闘技場~
監禁
〈黎夜視点〉
俺達は、また閉じ込められていた。
「また何処かに閉じ込められてるぞ。息も十分に出来やしない」
食事として与えられるのは、薄いミネストローネと、固いパンだけだ。それぞれ19皿。単純に計算すると、2人で1皿になる。このまま行くと、俺達は飢え死にする。
「早くっ……星月……賢島……頼む……早く来てくれ!」
今の俺にはそう祈る事しかできなかった。
そう祈っていると、クイーンが来た。
「まだ祈ってるのかい? 馬鹿馬鹿しい。それより……良い話がある。早くこっちに来な」
そう言い、彼女は俺に手招きした。どうやら俺だけがここから1時的に出してもらえるようだ。
俺は皆を見やった。
“行ってきな、渡飾”
そういう気配が立ち込めた。
それに、応えるように俺は頷き、牢を出た。
連れて行かれたのは、とても広い部屋だった。彼女は椅子に腰掛け、俺に言った。
「この仕打ちに皆もほとほと疲れ果てているだろう。そんな事はもう解りきっている。そこで……この待遇を良くしてあげよう。満足いく食事が取れる。部屋もそれなりの物を用意させる。だが……1つ条件がある。彼女達を騙す事が出来ればの話だがね」
そう言うとクイーンは、ほそく笑んだ。
「……どういう意味ですか? 彼女って、星月達の事ですか? 騙せと言うんですか! 俺らに!」
「そういう事だ……物分かりの良い少年だな……何? 何に文句があるんだい? お前達はただ私の言う事を聞けば良いんだよ。聞いて、キャストになれば良い。何がそんなに不満なんだい?」
「……その為に、良心を捨てろと? ……悪いが俺は――」
誰かに口を押さえられた。そんな奴に俺は容赦しない。電気ショックを放ち、相手を気絶させる。
「ついでにあんたも気絶したいか?」
もう戦う準備は出来ている。俺は彼女に向かってそう言い放った。
俺は戦った。俺vs.クイーン。
が、それも束の間。俺は相手に見事に捩じ伏せられた。
「子供のままごとにすらならない。お前達は、所詮私のマリオネットなんだよ。どうあがいても、ここから逃げられないんだよ」
“この人の声には洗脳作用がある”
そう確信した時にはもう遅かった。