MAGIC HIGH SCHOOL ~第二章 円形闘技場~
真夜中の話し合い
はっと目が覚めた。
誰かが動いた。陽梁だ。
こんな時間に何をしてるんだろう?
陽梁は、私達が寝ているコテージから出て行った。こういう時にやる事は1つ。尾行だ!
私は暗がりに隠れながら陽梁を追った。陽梁は、湖の方に歩いて行く。何をするつもりなんだろう?
湖に着いた。周りには誰もいない。
「里依。隠れてないで出てくれば?」
げっ! ばれてた。陽梁って本当に探知術持ってるんじゃないの?
こうなったらしょうがない。私は陽梁の方に歩いて行った。
「何で分かったの?」
「里依の尾行は分かりやすすぎ」
「やぁ。待たせてしまったな」
って笠本さん! 何で? 普通こんな時間に出歩いてたら怒るでしょ!
「で、わざわざ呼び出して話したい事って何ですか?」
笠本さんが陽梁を呼び出し?
「賢島にも、聞く権利はあるかもしれないが……」
「構いません」
何の話?
「ハート・ブレイクの事だ。ハート・ブレイクは強力な術だが、それだけ使い手は消耗する。あれは、使い手の感情で威力が変わるから、使い過ぎたら、精神が焼き切れ、死に至る。今までハート・ブレイクを持った者は皆、そうして死んだ。お前がハート・ブレイクを使った後、放心状態だったろう。クイーンの事もあったが、ハート・ブレイクの影響もあったはずだ」
「先生は結局何を言いたいんですか?」
「まぁ、ハート・ブレイクを使い過ぎるなという事だ」
……よく意味が分からないけど、どっちにしろこの術は使い過ぎたら陽梁は必ず死ぬんだ。そういう事しか私の頭には無かった。
“陽梁を失うなんて嫌だ”
初めて心からそう思った。