MAGIC HIGH SCHOOL ~第二章 円形闘技場~
ハプニング
私はただ今全力疾走中
何で走ってるかって? 理由は単純。2学期始まって初めての授業なのに遅刻しそうなの。
もーきつすぎ! 学校近くで良かった。
ヤバい! 学校のチャイム鳴った。
大急ぎで昇降口で靴を脱ぎ、上履きを引っ掴んで階段を駆け上る。やっと4階についた。教室まで50mくらいだ。
「遅れてすみません!」
教室に駆け込んだ。教卓に先生がいない。
セーフ!
あれ?
いないのは先生だけじゃない。ここにいるのは、里依だけだ!
「里依……何かあったの? 皆はどうしたの?」
「分からない。私が来た時から皆いなかった」
「いや、遅れてすまん。会議が長引いてしまった」
先生が来た。
「先生、皆は?」
「はい?」
「皆何処行ったんですか?」
「な……何故お前達しかいない!」
「先生気づくの遅すぎ!」
はぁ、笠本さんは相変わらずだ。
「とにかく、何故いないのかをつきとめなければ!」
先生は走って教室を出て行った。
「先生、何処行ったんだろう?」
「職員室でしょ。皆の家に電話」
「何で皆いないんだと思う?」
「さぁ。もしも皆が普段通り家を出たとしたら……」
「電車が遅れてるんじゃないの?」
「電車が遅れるって言うのは、すぐに広まるから、もしそうなら笠本さんが知ってるでしょ。私も考えたくない……でも、これしか考えられない。皆は……誘拐されたのよ……きっと」
私は絶句した。
“もし、そうなら確かに皆がここにいない事も、私達だけが何故ここにいるのかって事もつじつまが合う……けれど”
私は自分が考えた事に対して悪寒らしき物を覚えた。
〈里依視点〉
何で私達のクラスだけ平穏な日々を送れないの? 何でこんな戯言につきあわされなきゃいけないわけ?
沢山の何故が私の頭の中に溢れていた。
更に寒さが走る。クーラーなんてこの部屋に効いて無いのに。
遠くで蝉の鳴く声がぼんやりと聞こえた。
「……賢島!」
「え……何? ……陽梁。えっと、あ違った! 笠本先生!」
「……お前が放心状態になるのも無理はない。星月の事、考えていたんだろう?」
……全く違う事考えていたんですけど。
どうも今日の笠本先生は何か様子がおかしい。何かあったのだろうか?
「とにかく、さっき家庭に電話をかけた。そしたら、全員家は出たらしい……もし、皆誘拐されたとするならば、こんな事をするのは、まずクイーンしかいないだろう。 こうなったら……しょうがない。あそこに行くか。星月、賢島、ちょっとついて来い」
そう言うと、笠本さんは、私達を連れ、体育館裏の武器庫に連れて行った。
まさかこんな所に武器庫があったなんて……