最期の奇跡。


夜が明けてから大分経ったと思う。


私は敬の病室の前に立っていた。



大丈夫…。

中に入ったらいつもみたいに迎えてくれる。



平気…だから。



あの日みたいにはならないで…。



そう願いながらドアの取っ手に手をかけた。



よし!


―――――ガラッ。



ドアを開けたのは私ではなかった。



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