最期の奇跡。
「こんにゃろ…笑いやがって…。」
顔の火照りがいつの間にか消えて居心地が良くなって。
今しかないと思った。
今しか本当の気持ちを言えないと思った。
「あのねー、敬。私ね敬のことが自分より大事に思うんだ。……死んでほしくない。」
叶多……?、そう呟いた敬の言葉には期待もこもっていた。
「敬のこと大好きだよ。」
その瞬間体が浮いた。
「キャァッ!」
「本当に……!?」
「うん。」
嬉しくて、このときだけは病人じゃなかった。
死が近くにあることを実感するまであと少し。