弁護士先生と恋する事務員
センセイの密かなトラウマ
「まずは腹ごしらえか。何食べたい?綿あめか?クレープか?」
「そうですねえ……」
右にも左にも魅力的な屋台が並んでいて目移りしてしまう。
「タコ焼きにチョコバナナもあるぞ。今日は俺が買ってやる。なんでも好きなもの言えよ。なんだったら片っ端から食って行ってもいいぞ!わははは。」
先生はいつものノリで豪快に笑っているけど…
なんだか親戚のオジちゃんと姪っ子の会話みたいな気がして心中複雑だ。
「片っ端からって、無理ですよぅ、それに子供じゃないんだから自分で買います」
「いいからいいから、変な遠慮すんな。お、そこにクレープ屋があるな、よし買って来い。」
無理やり買いに行かされたクレープを食べながら歩き出す。
メニューが多すぎて店先で軽くパニックになって
とっさに選んだイチゴチョコ生クリーム。それがすごく美味しくて
「ムフッ…」
思わず変な声が漏れてしまった。
「うまいか。」
私の顔を覗き込んで先生が笑いをかみ殺している。
「美味しいです。…でもなんで先生は笑ってるんですか?」
「いや、お前の幸せそうな顔を見てたらな。」
「た、確かに幸せですけど、今。」
(色々な意味で…)
急に恥ずかしくなって、ちまちまとクレープの皮に齧りついていると
金魚すくいの屋台が目に入った。
「あ、そうだ先生!金魚すくいやってみませんか?」
「あ?やらねえよ。金魚すくいは絶対やらねえ。」
「まあ、いいじゃないですか。とりあえず、見てみましょうよ!」
私は照れ隠しのために、先生の腕をひっぱって
無理やり金魚すくいの屋台へと向かった。