弁護士先生と恋する事務員
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結局、先生と二人でアイスを買いに行く事になった。
事務所を出る時、何気なく振り返って目に入った、安城先生の冷たい視線に背筋が凍ったけど―――
(まったく、何なんだろう。ま、いつものことだ、気にしない!)
買いに行くと言っても、ビルを出たらすぐ商店街だからたいした距離ではない。
でも――
(先生と肩を並べて歩くのって、嬉しいな…)
そんな風に、私がドキドキ、ポーっとしているのに先生ときたら
「よう、みっちゃん。最近事務所に顔出さねえじゃん。寂しいなあ。」
「先生のとこの注文が少ないからでしょ!」
「あはは、そーかそーか。また頼むからよろしくなー。」
酒屋の若奥さんにちょっかいをかける。
かとおもえば、今度は美容室の新人さん。
(きれいめな女の人ばっかり…)
私がムッとする立場でもないんだけど、ちょっと妬ける。
(先生の馬鹿……)
私は少し早足になって、すたすたと先生の前を歩いた。
気持ちは足の回転と連動している、というどうでもいい事も発見した。
「ひゃっ、手ぇ、舐められたっ」
後ろから間の抜けた声が聞こえて振り返ると、先生が慌ててジタバタしている。
見ると、どこからともなく現れたパンダが(ブチ犬)、ちぎれんばかりにしぽを振って先生にまとわりついている。
「こいつっ、いつも俺についてきやがる」
「あははは!しょうがないですよ。先生が大好きなんでしょう。」
「あーもう、笑ってないで、詩織、何とかしてくれ!」
パンダの気持ちはなんだか、わかる。
先生って、動物とか子供にやたらと好かれそう。
パンダにひゃーひゃー言っている先生を横目に、私は笑い続けた。