弁護士先生と恋する事務員
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「詩織… おーい、詩織」
先生の声が聞こえる。
ゆさゆさと体を揺すられるけど、それすらも心地よく感じてしまうほど
私は眠りの淵をさまよっている。
「コラ、5秒以内に起きねえとこの場で襲うぞ。いいか。
5、4、3、2、1……」
「ZZZZZ……」
「コラっ!小娘!……のヤロ、本気にしてねえな」
しょううがねえなあ、って先生がぼやいている声が聞こえて―――
ユラ、ユラ、ユラ
心地よい揺れにうっすらと目を覚ます。
どうやら私は先生の背中におんぶされているみたい。
飛び起きて歩く元気なんて1%も残っていなくて
なす術もなく、先生の背中でまどろむだけ。
「…ったーく!女だって自覚があるのかよ」
(イチオウ アリマス…)
「あ、そか。コイツ俺が男だって事、忘れてんだな。」
(ソンナコト ナイヨ)
「俺は親戚のオッチャンじゃねーンだぞ、詩織」
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夢と現実の狭間の様な夜
月の光がそこらじゅうを青白く照らし
私は先生のゆりかごみたいな背中で
子供のようにまあるくなって眠りについた―――
*『うちのセンセイ』[4]街の灯り、月の光 /おしまい*