白紙撤回(仮
「うわ!?」
「ぷっ……あはははっ!」
「……え?」
「あはははは!」
何が何だか分からない。
市ヶ谷は俺を見てゲラゲラ笑っている。
理解出来ない狂気の世界だ。
何なんだ……。
恐る恐る死体に目をやる。
顔は潰れていると言うよりもドロリと溶け糜爛になっていた。
それ以外の皮膚は血色もよく不自然なほどキメ細かい。
毛穴ひとつない綺麗な皮膚……
「……ん?」
思わず死体を二度見した。
そして、ここでようやく気が付いた。
「……おい市ヶ谷……ちょっと待てコラ……」
「何?山科君」
市ヶ谷は口元を押さえて笑いをこらえながら俺に近寄る。
これは違う……。
「お前、これ人形じゃねーか!?ふざけんな!」
「あはは!山科君ウケるー」
手を叩いて笑う市ヶ谷を殴り倒したい。
俺が死体だと思っていたソレはリアルな人形だった。