白紙撤回(仮
市ヶ谷の仕事場はマンションから少し離れた所にあった。
一見、倉庫のような感じだったが鉄の扉を開けるとシンナーの微かな匂いがした。
先に市ヶ谷が中に入り電気をつける。
薄暗い室内に灯りが入ると工房の実態が晒され俺は呆気に取られた。
制作途中と思われる五体の首なし人形が簡易ベッドの上、裸で出迎え、人形のパーツや生首が無造作に作業台へ置かれている。
リアルすぎて軽くホラーだ。
「うわ……本当に造ってたんだな……」
「何?疑ってた?」
市ヶ谷は渇いた笑いを俺に向けた。
「簡単に説明すると造形、型流し、型抜き、組み立て、目玉入れから睫毛眉毛の植毛、ウィッグ、細かい作業に移るんだけど……」
気後れする俺に気付いて市ヶ谷は俺の顔を覗き込んで聞いた。
「山科君、やれそう?」
「やるしかないだろ……」
「うん。じゃ、君に貸してあげられる部屋はこっちだよ」
市ヶ谷について奥に行くと仕事場と隔離されたようなドアがあった。
中に入るとそこは休憩室のようでソファーとローテーブルが置いてあり、段ボールが幾つか積まれていた。
広さは俺の住むワンルームと大差無い。おまけにエアコンまでつけてある。
「今は物置みたいになってるからね。君が使うなら退かして片付けるよ。あんまり広くはないけど寝泊まりするくらいは出来ると思うよ?どうする?」
「充分です!借りてもいいなら貸してほしい!なんならソファーと机も使わせてほしいくらいだ」
「……なら、段ボールだけ片付けるよ」
「市ヶ谷、いや市ヶ谷さん!ありがとうございます!」
「何?気持ち悪いんだけど」
頭を下げた俺に市ヶ谷は冗談めいた笑いを見せた。
一見、倉庫のような感じだったが鉄の扉を開けるとシンナーの微かな匂いがした。
先に市ヶ谷が中に入り電気をつける。
薄暗い室内に灯りが入ると工房の実態が晒され俺は呆気に取られた。
制作途中と思われる五体の首なし人形が簡易ベッドの上、裸で出迎え、人形のパーツや生首が無造作に作業台へ置かれている。
リアルすぎて軽くホラーだ。
「うわ……本当に造ってたんだな……」
「何?疑ってた?」
市ヶ谷は渇いた笑いを俺に向けた。
「簡単に説明すると造形、型流し、型抜き、組み立て、目玉入れから睫毛眉毛の植毛、ウィッグ、細かい作業に移るんだけど……」
気後れする俺に気付いて市ヶ谷は俺の顔を覗き込んで聞いた。
「山科君、やれそう?」
「やるしかないだろ……」
「うん。じゃ、君に貸してあげられる部屋はこっちだよ」
市ヶ谷について奥に行くと仕事場と隔離されたようなドアがあった。
中に入るとそこは休憩室のようでソファーとローテーブルが置いてあり、段ボールが幾つか積まれていた。
広さは俺の住むワンルームと大差無い。おまけにエアコンまでつけてある。
「今は物置みたいになってるからね。君が使うなら退かして片付けるよ。あんまり広くはないけど寝泊まりするくらいは出来ると思うよ?どうする?」
「充分です!借りてもいいなら貸してほしい!なんならソファーと机も使わせてほしいくらいだ」
「……なら、段ボールだけ片付けるよ」
「市ヶ谷、いや市ヶ谷さん!ありがとうございます!」
「何?気持ち悪いんだけど」
頭を下げた俺に市ヶ谷は冗談めいた笑いを見せた。