恋愛はナニイロ?
「ここのケーキ姉貴が考えてるんだ」
得意げに凜さんを見るアツ君。目で会話できるなんて、きょうだい仲良いんだろうな。
「美味しいって言ってもらうのが一番嬉しいわね♪」
ふふっと頬を少し染めて目を細めて笑った顔……あ、アツ君に似てる。私の大好きな表情に。
「ウエイトレスさんなのに凄いです……」
私の正直な感想。
バイトの傍ら新作ケーキの考案まで任されちゃうって…よっぽど信頼されてるんだろうな。
「ま、将来のための勉強ですから」
「?」
不思議そうにしてる私に向かって再度笑顔。
「ここうちの店なのよ」
「………はいぃ!?」
もう何度驚かされたらいいのか。
つまりアツ君は自分ちの店でバイトしてたと。そしてお姉さんはウエイトレスの傍らケーキの考案もしていると。
「それだけじゃないのよ。そのチョコレートケーキ、どうだった?」
「え?あ、とっても美味しかったです…けど」
「でしょ?絶対真琴ちゃんの口に合うと思った♪それ、彬良君が考えてくれたんだもの。わがサークル活動の一貫」
-ガク~ッー
お、お兄ちゃん………なにやってんのよ。何のサークルよ…恥ずかしいからやめてよも~。ケーキ好きもここまで来ると病気か?
「将来継ぐ時は経営だけじゃなくて色々携わっていきたいから今は修行してるの。色々楽しいわ」
隣りで『姉貴が継いでくれるから助かるよ』とウンウン頷いてるアツ君。
そんなアツ君を見て溜め息をつく凜さん。
「こんなおちゃらけて女の子一人満足に扱えない情けない弟だけど……どうかよろしくね」
頭を下げられる。ビックリして慌てて首と両手を振る。
「そんな……私の方が良くしてもらってるんですっ。アツ君は私なんかには勿体ない位の人です!」