恋愛はナニイロ?


「サンキュ。俺いつでもマコの好みに変えるからさ」

「そ、そんなのいいよ。いつもアツ君らしくいてくれればっ」

「ははっ、そう?」




なんて事ない会話に楽しい時間。俺だってこんな楽しいデート、マコに会うまで知らなかった。


今まで付き合ってた娘達は周りと張り合って背伸びして。
『どこ行く?』って聞くと必ず『あそこ行こ』。別にそれはそれでいいと思う。『どこでもいいよ』って言った奴も居た。ただ『アツの行きたいとこは?』って言った事ある奴、初カノ出来た13歳から考えて…多分二人だけ。それも若い時だから、頻繁に彼女入れ替わってた頃はまずいなかったな。
そして入るとこは流行の高いブランド店とか化粧品の店、ファーストフードよりイタリアンかフランス、クラブとかがいいって……
別にどうでもよかったから付き合ってたけど、自分の中に隙間ができていくのがわかった。見栄張って『昨日は予約制のホテルのディナーだった』とか『付き合った一か月の記念にティ〇〇ニー買って貰った』とかそんなのを聞く度に気持ちが冷めるのがわかる。その度に別れるの繰り返し。




でもマコは違った。一緒にいると実感する事。



-あ、ほらまた…-




チラッとこっちを見上げる。目が合うとニコって笑う。
顔を見てるんじゃない。表情から気持ちを読み取ろうとする。俺も楽しんでるか退屈してないかとか、無意識に気遣いができるんだ(本人そんな気はないんだろうけど)。



「アツ君、どうせブラブラするならさ。今日はアツ君の好きなとこ行こう?この前は私が行きたいところばっかり連れ回しちゃったし」



-あぁ、俺にはやっぱりマコじゃなきゃ……-




見上げたマコの笑顔。
こんなうさん臭いセリフ口には出せねぇけど…天使に見えるよ。





「じゃちょっと付き合って貰おうかな」

「うん♪」




マコの笑顔もマコ自身も俺の何を置いても守りたい、まさにそんな感じ。
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