時を超えた愛~新選組と私~【完】
「永倉さん、莉世さん…。最後に敬助さんに会わせてくださって、ありがとうございました。会うこともなく知らせだけだったら、もっとツライ思いをしていたと思います…」
あたしは泣くことしかできず明里さんに、どんな声を掛けていいのか分からなかった。
「じゃ、オレ送ってくるから…」
「はい…」
永倉さんは彼女と二人屯所を出た。
永倉さんが戻ってきて程無くして山南さんが切腹した。
介錯は山南さんの希望により沖田さんが務めた。
近藤さんは“見事だった”と賞賛した。
普段泣くことがない鬼の副長土方さんも、山南さんの死には泣くほどだった。
あたしは土方さんに部屋にいるよう、言われたので一人泣きながら過ごした。
元冶2年2月23日 山南敬助 切腹 享年33
寒い寒い冬のことだった。