他人格的適合者(タジンカクテキテキゴウシャ)『短編』
教室に、案内されると思っていたら、

理事長室に案内された。

いや、そこは理事長室ではなかった。

お嬢様室と書いてあった。

「どうぞ…お嬢様」

ドアを開けて、促されて、部屋に入った俺は、また唖然となった。

ふわふわのソファに、ヨーロッパ調に並べられた家具。

巨大なモニターに、教壇が映っていた。

「お嬢様…今日は、如何なさいましょうか?」

ずらっと並んだティーポットの数々…。


メイドが1人、そばで立っていた。

「朝のオススメの野いちごのジャム〜」

メイドがなんたらかんたらと、説明するが、


俺は午後ティーくらいしか、知識がない。

「それで」

適当なところで、言葉を止め、適当なものを頼む。

ソファに座り、カップが運ばれてくる。

カップを手に取ると、甘い匂いが漂ってくる。

「では…私は」

純一郎が、頭を下げ…出ていこうとした瞬間、

俺は我に返った。

「違う!」

俺はカップを、メイドに押し返し、

「普通がいい!普通に、教室がいい!ぎ、逆に、肩こるわ!」

俺の言葉に、純一郎は深々と頭を下げ、

「承知致しました」







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