他人格的適合者(タジンカクテキテキゴウシャ)『短編』
真田のぞっとするような言葉に、俺は息を飲んだ。


いつのまにか、車は民衆から、抜け出ていた。


「お前が…見初められた…相手は、そんな存在だ」

車は国道に入り、車内は安定した。

ふっと…隣が静かになっていることに気付き、

真田は助手席を見た。

俺は、気を失っていた。


ぐったりとうなだれている俺を見て、真田は鼻を鳴らすと、


「可愛そうに…」

と哀れむように、呟いた。


その呟きは、気を失っている俺に聞こえるはずがなかった。
< 25 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop