他人格的適合者(タジンカクテキテキゴウシャ)『短編』
(大体…俺の体を整形しただけだろ…。別に、見たって…)

だだっ広い部屋を出て、明らかに、百メートル走はできる廊下を、猫沢に先導されて歩く。

突然、左に曲がり…右に曲がり、

またまた左に曲がり…そして、左と思わせて右に曲がり、少し階段を降りて、

来た道を少し戻り、階段を降りると、

下に着いた。

「今…確実に、無駄な動きがあっただろ!」

俺の突っ込みも、猫沢は無視した。


「着きました…お嬢様」

事務的な口調に、妙にトゲのあるトーンで、俺に向かって、頭を下げた猫沢を軽く睨みながら、

俺は促されて、部屋に入り、唖然となった。

テレビドラマでしか見たことのない…向こうが遥か遠くのテーブル…その上に、並べられた数多くの料理。

その数を数えるだけで、遅刻しそうだ。

「これを食べろと」

猫沢は、頷いた。


朝は、ご飯と味噌汁という生活を、生まれて、16年過ごしてきた俺にとって……これは、朝ごはんのレベルをこえていた。

それに、少し離れたところに立つシェフの姿も、プレッシャーを与えていた。





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