◉◉◉ 俺たちはキチガイじゃねぇ!◉◉◉
この日、堀江 哲平は山梨県の河口湖付近にいた。

兄『奈緒美!』

妹『なにお兄ちゃん?』

堀江は全身を固定されたたまま、特別仕様のキャデラックから首を少し傾け、

外で休憩をする実の妹、堀江 奈緒美に申し訳なさそうに聞いた。

兄『お前本当にいいのか?』

妹『どうしたの?らしくないね?大自然で感傷にひたってんの?』

兄『かもな。』

妹『やっぱ都会と違って絶対いいってココ!ほら、ぶどうくれた!見て!桃も!』

妹『いい人ばっかじゃん!』

妹『行くぞ兄貴!いざ甲府へ〜』

兄『おう。ありがとな。』

奈緒美はまるでモデルのように細く、ハリウッドセレブを思わせたが、その瞳は猛獣のように鋭く、優しくも茶色の目をしていた。

運転手『社長このまま甲府でいいですか?』

兄『いいも何も、ここには何もねぇだろ!』

運転手『すいません』

兄『全く。』

運転手は、この乱暴に話す『障害者』にどう接していいのか分からぬまま、

仕事初日というのに、大分どやされ続け、傷心していた。
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