◉◉◉ 俺たちはキチガイじゃねぇ！◉◉◉

『危ない！』

運転手はカーブで回転する前の走行車に思わずブレーキを踏みつけた。


『キキキィー！！！』


すると二台の車は同時にスピンし始めた。

それはまるで映画のワンシーンかコマーシャルのようであった。

スープラとキャデラックはまるで踊っているかのように、寸分狂わず周り続け

円を描くように回転し、ラストにさしかかると車体のお尻をお互いに向き合い離れるように
きれいに止まった。


『パパパーーーーーー！』


キャデラックはその間ずっとクラクションを鳴らしていた。

運転手はブレーキを踏む前から目を閉じていた。

バタバタとハンドルを叩き言った。


運転手『どいてぇ〜。』


運転手『危なかった。大丈夫ですか？』


奈緒美『お兄ちゃん大丈夫？』


堀江『ああ。』


運転手『はぁはぁはぁ・・・ブツブツ・・・』


堀江はこのすべての瞬間を一つ残らず見ていた。

恐怖に何もする事が出来なかった、つかえない運転手をクビにすると決めた瞬間や、

奈緒美が必死にサイドブレーキをかけていた事。

そして、スープラがこの瞬間を操り、全て楽しんでいた事も。

堀江『止めろ！』