たなごころ―[Berry's版(改)]
※※※※※※
「猪俣笑実、本当に。お前は」
「お前って言うのやめてくださいって言ったじゃないですか」
「黙れ、ばあか」
鏡に映る自身の姿を見る箕浪を。笑実は後ろから眺めながら。込み上げる笑いを抑えるのに、必死だった。腹筋が痙攣を起こしそうである。先ほど口にした台詞も、そのせいで震えてしまっていたほどだ。
不機嫌そうに、笑実を振り返った箕浪を前に。笑実は堪えきれず噴出した。自分が鋏を入れたとは言え、出来上がった箕浪の前髪は酷い出来栄えであったからだ。何が原因なのかは、笑実自身分からないが。センスがないことは確かのようだ。
自身のお腹を抱え、蹲る笑実を余所に。箕浪は被っていたビニール袋を脱ぎ捨て、浴室を後にする。慌てて。涙の溢れる目じりを拭い。笑実も彼の後を追った。
「どこへ行くんですか?」
「隣だよ。マトモな頭にしてもらいにいくんだよ。これじゃあ、あんまりだろうが」
箕浪の台詞に。笑実は、シガーバーの料理上手な店員が。元美容師だったと耳にしたことを思い出す。ならば、最初から。彼に切ってもらえば良かったのにと思いながら。笑実は箕浪の背中を見送った
「猪俣笑実、本当に。お前は」
「お前って言うのやめてくださいって言ったじゃないですか」
「黙れ、ばあか」
鏡に映る自身の姿を見る箕浪を。笑実は後ろから眺めながら。込み上げる笑いを抑えるのに、必死だった。腹筋が痙攣を起こしそうである。先ほど口にした台詞も、そのせいで震えてしまっていたほどだ。
不機嫌そうに、笑実を振り返った箕浪を前に。笑実は堪えきれず噴出した。自分が鋏を入れたとは言え、出来上がった箕浪の前髪は酷い出来栄えであったからだ。何が原因なのかは、笑実自身分からないが。センスがないことは確かのようだ。
自身のお腹を抱え、蹲る笑実を余所に。箕浪は被っていたビニール袋を脱ぎ捨て、浴室を後にする。慌てて。涙の溢れる目じりを拭い。笑実も彼の後を追った。
「どこへ行くんですか?」
「隣だよ。マトモな頭にしてもらいにいくんだよ。これじゃあ、あんまりだろうが」
箕浪の台詞に。笑実は、シガーバーの料理上手な店員が。元美容師だったと耳にしたことを思い出す。ならば、最初から。彼に切ってもらえば良かったのにと思いながら。笑実は箕浪の背中を見送った