たなごころ―[Berry's版(改)]
 唾液の水気を帯びた音と共に、ふたりの唇が離れる。熱を帯びたため息を、笑実はひとつ零した。嬉しそうに、眸を細めた箕浪が問う。

「ときめいた?」

 赤みを帯びた笑実の頬を、箕浪は掌で包み込んだ。色気を感じさせる笑実の眸を見つめながら。

「俺は、笑実にこれ以上ないくらいときめいてるよ。どうしていいか、自分でも分からないほど。これが恋じゃないと笑実は言うの?戯言だと?違う、違うだろう?この胸の高鳴りは、君を心から欲しているから。好きだからだ。笑実、そうだろう?もう、誤魔化すな。
――笑実も俺と同じだと、そうだと言って?」

 箕浪の問いに。僅かの沈黙の後。笑実は頷いた。
 瞬間、箕浪は笑実を抱きしめる。これ以上にないほどの笑みを浮かべて。強く、強く笑実を抱きしめ、箕浪は彼女の耳元で呟く。

「やっと、掴まえた」



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