たなごころ―[Berry's版(改)]
 眉間に皺を寄せ、熱のあるため息が箕浪の口から零れる。頬を、更に染めながら。笑実は身体をずらし、箕浪自身を目の前に捉える。指先で、形をなぞり、鈴口に唇を寄せる。舌を尖らせ、流れる涙を舐め上げる。何度も、何度も。
 噛み締めた唇から、箕浪は溜まらず声を漏らした。聞こえた箕浪の吐息に、笑実は喜びを感じる。力を加え、箕浪自身を握った瞬間。

「っ!笑実、もういいからっ」

 言葉が届くのが早いか……不意に、笑実の身体が浮いた。両脇に、箕浪の手が差し込まれ、元の居た場所まで引き上げられたのだ。驚きのあまりに、笑実は瞬きを繰り返す。だが、箕浪は笑実に考える余裕など与えない。彼女の頬を両手で包み込み、唇を重ねた。

 少しだけ、ぽてりと腫れ始めているような感覚のある唇が開放された頃。箕浪はベッドサイドに手を伸ばす。カサリと音を立てながら、あるものを取り出していた。笑実えを大腿に乗せたままに、器用に箕浪は自身の準備を整える。その間、笑実の眉、瞼、鼻先、頬……いたるところに唇を寄せて。再び、唇に着地した頃。笑実の身体が大きくベッドへ倒される。
 笑実の視界には、見慣れぬ天井と。自身を見下ろす真剣な眼差しの箕浪の顔があった。
 同時に。笑実の秘部には、箕浪自身が触れ合っていた。口付けを交わすように、水音を立てながら。ゆるゆると。

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