たなごころ―[Berry's版(改)]
※※※※※※
「意外と、人がいますね」
入場ゲートを通り抜けた場所で。笑実と箕浪は立ち尽くしていた。
ふたりが訪れたのは動物園。小さな遊園地が併設されているそこ。園内には、平日にも関わらず多くの人で溢れかえっていた。大多数は中学生か高校生だろうか。制服姿の子供が多く見られる。時間帯が帰宅時間に重なっている影響もあるだろうが。
先日、この動物園が新しい赤ちゃんを迎えたと。テレビで放送していたことも大きいだろう。笑実も、そのニュースを見て、ここに来ることを思いついた人物のひとりでもあるのだから。
笑実は、隣に立つ箕浪を見上げた。運転中も、現在も。箕浪はサングラスをかけたままだった。眸が全く見えないせいなのだろうか。前髪で遮られている時よりも。箕浪の感情が読みにくく、笑実は若干の戸惑いを感じていた。
返事のない箕浪の顔を、じっと眺めていると。笑実には、顔色が悪いように感じられて。右手で口元を覆う箕浪の腕に、笑実は手を添える。
「箕浪さん?顔色が悪いですけど、大丈夫ですか」
「悪い……。着いたばかりだけど、ちょっと休憩してもいいか?」
「ええ。あっちにベンチがあります、少し横になりましょう」
ふらつく箕浪を。笑実はベンチまで誘導する。顔色を失いつつある箕浪の身体をベンチに寝かせ。笑実は慌ててその場を離れた。冷えた飲み物を買いに。
「意外と、人がいますね」
入場ゲートを通り抜けた場所で。笑実と箕浪は立ち尽くしていた。
ふたりが訪れたのは動物園。小さな遊園地が併設されているそこ。園内には、平日にも関わらず多くの人で溢れかえっていた。大多数は中学生か高校生だろうか。制服姿の子供が多く見られる。時間帯が帰宅時間に重なっている影響もあるだろうが。
先日、この動物園が新しい赤ちゃんを迎えたと。テレビで放送していたことも大きいだろう。笑実も、そのニュースを見て、ここに来ることを思いついた人物のひとりでもあるのだから。
笑実は、隣に立つ箕浪を見上げた。運転中も、現在も。箕浪はサングラスをかけたままだった。眸が全く見えないせいなのだろうか。前髪で遮られている時よりも。箕浪の感情が読みにくく、笑実は若干の戸惑いを感じていた。
返事のない箕浪の顔を、じっと眺めていると。笑実には、顔色が悪いように感じられて。右手で口元を覆う箕浪の腕に、笑実は手を添える。
「箕浪さん?顔色が悪いですけど、大丈夫ですか」
「悪い……。着いたばかりだけど、ちょっと休憩してもいいか?」
「ええ。あっちにベンチがあります、少し横になりましょう」
ふらつく箕浪を。笑実はベンチまで誘導する。顔色を失いつつある箕浪の身体をベンチに寝かせ。笑実は慌ててその場を離れた。冷えた飲み物を買いに。