男装少女の恋物語
「きゃーっ!冷たいなぁっ!」
「うわっ、やめろってー!」
今私たちは海にいる。
ちなみに、私は泳げないから、
とボートに乗ってプカプカと浮かんいることになった。
もちろん男物の水着を着ているが
上にはサラシを巻いたままなので、
パーカーを羽織っている。
それにしても。
本当に強引な人だ。
だいたい家族旅行が嘘なんて
どーしてバレたんだ。
私はまるで本当のことのように行ったのに。
あぁ、なんだか、すごく眠い。
このまま寝ててもちょっとぐらいなら大丈夫だよね?
______……
「ん……」
少し寝すぎてしまったみたいだ。
見渡すと辺りは真っ暗で、ビーチには誰もいない。その上、ちょっと波も大きい。
ヤバい、そう思ったとき。
少し大きめの波が襲ってきた。
「うぁ…………っ!」
波のせいでボートがひっくり返る。
まだ死にたくないのに………!
そう思った瞬間。
もうろうとした意識のなかで誰かが私の名前を呼んだ。
『政宗』と……