男装少女の恋物語
キーンコーン……
ついに昼休み。そういえば、待ち合わせも何もしていなかったな。
どうしようか。
……確か、三年A組だったはずだ。
覗きに行ってみよう。
ー三年A組教室前ー
「あのー…」
私がドア付近にいた、女子の先輩に声をかけると
「わぁ、可愛い子!君、七原政宗君だよね!?」
「え、まぁ。」
「どうしたの?誰かに告白?」
「え、えと、そうではなくて……」
私が戸惑っていると……
「おい、菜穂。その辺にしといてやれ。」
女子の先輩の後ろから現れたのは、上條先輩だった。菜穂、と呼ばれた先輩は振り返ると
「一、邪魔しないでよね」
「そいつは俺の後輩だ。そいつで遊ぶな。」
「えー、じゃあ、後輩くんは逃がしてあげるから今日夜一の家行っていい?」
「だーめ、今日は美和が来るから。」
「相変わらずプレイボーイね」
……女遊びがすごいってのは本当だったのか。
まぁ、女慣れしてても私の男装には気づかないよね……?
「さてと。行くか、政宗。」
「あ、はい。」
突然声をかけられ戸惑ってしまう。
返事不自然じゃなかったかな?
「それじゃあ、またね。政宗くん!」
そう言って菜穂先輩が手を振っているのが見えた。