男装少女の恋物語
「~♪~~♪」
鼻歌まじりにスキップしながら歩いてみる。
今は葉瑠の家の帰りだから、私服。
久々に履いたスカートが嬉しくて時々回ってみたりした。
「あれ、政宗?」
背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返ると……
「……っ!」
上條先輩だった。
(ば、バレた!?)
「んだ、その格好。女装か~?」
「ち、違いますっ!人違いです!」
「はぁ?俺には政宗にしかみえねーぞ?」
(どうしよう……っ!)
「あー、香織さん?」
先輩の後ろから私の姉の名前を呼ぶ声が聞こえた。葉瑠だ。
「……香織?」
上條先輩は不思議そうな目をする。
「そうよ。私は七原香織。政宗の姉です。いつも政宗がお世話になってます。」
うまく誤魔化す。
……これはあとで姉さんに協力を頼むしかない!
「すみません、人違いでした。顔立ちが似ていたもので。」
「ふふっ、よく言われます」
言われたことなど一度もないけども!
……でも。
うまく誤魔化せたようだ。
ありがとう、葉瑠!
こうして私たちは上條先輩と別れた。