男装少女の恋物語

「~♪~~♪」

鼻歌まじりにスキップしながら歩いてみる。
今は葉瑠の家の帰りだから、私服。
久々に履いたスカートが嬉しくて時々回ってみたりした。


「あれ、政宗?」


背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返ると……


「……っ!」


上條先輩だった。


(ば、バレた!?)


「んだ、その格好。女装か~?」
「ち、違いますっ!人違いです!」
「はぁ?俺には政宗にしかみえねーぞ?」


(どうしよう……っ!)



「あー、香織さん?」


先輩の後ろから私の姉の名前を呼ぶ声が聞こえた。葉瑠だ。

「……香織?」

上條先輩は不思議そうな目をする。


「そうよ。私は七原香織。政宗の姉です。いつも政宗がお世話になってます。」


うまく誤魔化す。
……これはあとで姉さんに協力を頼むしかない!

「すみません、人違いでした。顔立ちが似ていたもので。」
「ふふっ、よく言われます」

言われたことなど一度もないけども!
……でも。
うまく誤魔化せたようだ。
ありがとう、葉瑠!


こうして私たちは上條先輩と別れた。






< 7 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop