君のいた夏を僕は忘れない
学校につくと、背負っていたスクバを後ろから引かれた。
(なに....?)
そう思って振り返ると、やっぱアイツ。
「おーはよっ!真尋くん」
肩までの茶髪ボブのちび。
尾上夏芽。
最近やけに話しかけてきて、正直鬱陶しい。
俺は見事に尾上を無視して、教室に向かった。
掲示板に委員会の知らせとか、
今度の文化祭とかいろいろな紙を横目に通り過ぎる。
そんな掲示板と俺との間にちびがいる。
「...なんなの?尾上サン」
俺はまっすぐ前を見たままそう聞いた。
すると尾上はほほを膨らませる。
(だからなんなワケ?)
「挨拶くらいかえしてよ...」
「別にいいだろ。かえさなくても」
俺の勝手だし。
「クラスメイトなのに?」
「俺は挨拶とかしない」
面倒くさいし。
「だって...」
黙り込んでしまった尾上。
俺はさっさと先を進む。
ガキか、尾上は。挨拶くらいで...。
すこし不機嫌で廊下を進んだ。