忘れられない




「米澤小緒梨さん。」



「はいっ!」




私の名前が呼ばれた。



校長先生の前に立ち、

お辞儀をする。


卒業証書を手にした

その時、

「声優向いてるよ。

頑張ってね!」


と、囁いたのは

校長先生だった。

私は、すぐさまに

「はいっ!」

とみんなには、

聞こえない声で

返事をした。




席に戻り、

座ってから

校長先生の言葉を

思い出し、

自然と涙が

あふれていた。



校長先生の

そのさり気ない

一言が心に

染みたのだ。


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