忘れられない
「ご、ごめんッ…」
「またかよー!
いつになったら、遅刻グセ直んの?」
江口は、
あきれたように言った。
「だ、だってぇ…」
「ばーか」
「なッ…」
怒ろうとしたその時だった。
「何処行きたい?」
江口の顔を見ると、
何となく火照っていた。
あ…
やっぱり江口もそれなりの
緊張してるんだなぁ…。
この時、
江口も私に緊張することって
あるんだなぁ。
って初めて思ったの。
「何処でも♪」
「何だそれ」
私は、
何処に行っても良かった。
江口との初めてのデート。
人生でも初めてのデート。
私は、そこまで
こだわりはなかった。