キアギス 続
『氷の粒よ。紗月の周りで固まれ』

『紗月を地獄の業火で焼き払え』

二人の魔法が俺を襲う。

激しい爆音と共に深く掘った穴と、平地の差が付かないほど砂が消し飛んだ。

「幸か不幸か俺は不死の実を食べてしまった。もう死ね無い。歳老いてしわくちゃになって、動けなくなっても死ねないんだ」

俺は静かに言った。

『ライなら…。…紗月さん!ライに会いました!?』

「いや…?」

正直ライが誰だかも分からない。

『ライなら救えるかも知れないんです!!』

『じゃあ、あれやるの?』

『当たり前でしょ!いくよ《光を呼び覚ます為に現れろ!火、雷、水、闇、風、時、大地、マクスウェル、光、月、樹、再生の聖霊よ!!!》』

『またライを呼ぶのか?』

『シーク!!そうだよ♪ライを呼ぶんだよ〜♪』

セルがシークに抱き着きながら言った。

『っく…。イチャイチャしやがって…』

『コラッー!お姉さまに近付くな〜!!』

水を纏いながらターバンを巻いた男の子に飛び付く女の子。

『ウディー、止めるんだ。闇に落とすぞ』

『え〜!!そんな事言わないでよラック』

もう、誰が誰だかさっぱりだ。

『もぅ、いいからライ呼ぶよ!!』

セルがそう言うと、もめ合っていた聖霊達が輪を作った。

『《全聖霊を集めた時に出しライよ。今、此処に現れよ!!》』

一面が眩しいけど暖かい光に包まれた。

『我は光の聖霊・ライ。汝らは何の用で呼んだ』

「俺の不死を解いてほしいんです!!」

『ほぉ、不死を…』

ライは白い羽根と白い服でいかにも天使って感じだった。

『しかし、不死を解くには必要なモノがある。取って来てくれるか?』

「何処に…あるんですか?」

『…氷咲山の山頂』

ライは申し訳なさそうな悲しい顔して言った。

「氷咲山…。分かった!行ってくる」

『すまない。我が行ければ良かったのだが我は今封印されている。封印したのはダ−…』

ライは消えてしまった。

しかし、十分なヒントを与えてくれた。

ライを封印したのはダーテだ。

「燈!碧!俺を柚の元へ行かせてくれ」

二人は顔を見合わせ無言で消えた。

それと、同時に街が見えた。
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