キアギス 続
「今からこの国を廃除する」

俺は、自分の意志で人々を切り始めた。

「貴様…誰の命でこんな事をする!?」

「後の世の王、ダーテ様だ。正確にはダーテ・クスルザンだ」

そう答えて、聞いて来た男を切った。

「王は何処だ?」

「中央塔の頂上です!!」

血の滴る剣を当てて言った。

「案内しろ」

歩きながら逃げ惑う人々を切った。

あらかじめ、一カ所に集まるように魔法を使い、唯一の入り口には結界が張ってあって出れない。

人々は逃げ惑うしか無いのだ。

「殺し尽くさないと…」

「どうしてこの国なんだ…」

「ダーテ様が言ったからだ」

「あんたはダーテって奴の人形かよ」

男はボソッと言った。

「あぁ、あの人の為なら何だってする。あの人は…。…なんでお前にそんな話をしなきゃなんないんだ」

「いーじゃん。冥土のみあげにさぁ」

「……うるさい。もう良い」

俺が切ろうとしたら、男はパッと避けた。

「俺、側近護衛だから、手強いぜ?」

「……」

その時、晴れ渡っていた空が曇り始めた。

「雰囲気は必要だよね。じゃあ、行くよ」

「ちょっと待った!あんた、何も唱えずに術が使えるのか?」

「まぁな」

直後、男の目の前から柚が姿を消した。

「油断…してていいのか?」

「えっ…」

俺は男の隣に立ち、足を蹴った。

「〜ッすねを狙うとは卑怯な」

「殺し合いに卑怯もクソもあるか。さて、一息に殺してやるよ」

男の身体は徐々に石化していた。

「……見た事も無い術だ。分かった。早くやれ」

「まぁまぁ楽しかったよ。じゃあね」

心臓を突き刺すと色鮮やかな血が柚の身体に降り注ぐ。

もう、血で白かった服も真っ赤になってしまった。

「中央塔…。あそこか…」

柚は再び、歩き始めた。



「起きて!兄さん!!」

紗月は柚の声で起こされた。

「ゆ…う。…ってお前、縁を切るだのって、あれ?」

確かに柚の声が聞こえたのだが、姿は無いし、見知らぬ場所に閉じ込められていた。

「これは氷の檻?」

そう、紗月は捕まっていた。
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