キアギス 続
「『子が生まれ、大人になり、親となる。命のサイクルは止まらず、このサイクルから、外れる者はいない。地獄も天国も、必ずサイクルがある。だから、恐れないで、安らかなる永遠の眠りを。この世で生を受けた事を、後悔しないで。静かな眠りへ導け。消えゆく命、生まれない命、永遠の神。全ては我々の為に。我々の犯した罪を許したまえ。神よ。罪深き我々を許したまえ。お守り下さい、我々がこれ以上罪を重ねないように。我々を、救い護りたまえ、大いなる神よ!!』」

柚は言い終わったのと同時に王の後ろに回った。

そして、拝むように手を合わせ、その片手を背中に当てた。

「『アーメン』天の裁きをその身に受けろ」

王はそのまま倒れていった。

「その身体に魂は無い。さぁ、逃げ回れ。斬るぞ」

柚は納めてあった剣を抜いた。

「ん?あそこのって日本刀か?拝借しよう」

柚が手に取ったのは身長と同じくらいの長い日本刀だった。

「これは良い♪振り抜き易さ、軽さ、切れ味。最高だ。この刀に名前はあるのか?」

「龍緋刀(りゅうひとう)です。…その刀はこの地が大飢饉の時、残党達が襲いに来でどうしようもない時、助けて下さった救世主の刀なのです。お願いします。それだけは残しといてください!!」

側近の一人がひざまづいていった。

「嫌だね。此処に置いといても人っ子一人残らないよ?宝の持ち腐れじゃない?」

「あ…貴方には情けと言うものは無いんですか!?」

「無いよ。悪魔にそんなの求めちゃダメだよ♪じゃあね」

柚は刀を振り下ろした。

ガキンッ…

「諦めねぇぞ…。王が死んだ今、民の心の支えはその刀になる。渡さない」

側近の一人が剣で刀を受け止めて言った。

「そうだな。剣を貸してくれチョウコ」

「はい。こんな悪魔、ぶっ倒して下さいヒョウショウさん」

ヒョウショウとやらはチョウコから剣を受け取った。

「私は実力なら一番の帯刀護衛兵だ。剣は折れてしまったんだが…」

「魔法は使えんのか?」

「使えん」

ヒョウショウはきっぱり言った。

「そうか、じゃあ、剣術だけで勝ってやるよ。お前の得意分野で打ちのめしてやる」

俺がそう言うと…

「おもしれぇ奴♪楽しくやろう」

笑って返した。
< 20 / 26 >

この作品をシェア

pagetop