キアギス 続
「ねぇ、此処の人口どれだけ?城ん中合わせて」

「千人ピッタリだ。噂じゃあ、千人ピッタリになるように追放される人がいるらしい」

「ふぅ〜ん…じゃあ、『一日千人殺しましょう』だ♪」

「させると思う?殺すよ、お前」

ヒョウショウは真剣な顔付きで言った。

「楽しい雰囲気じゃな〜い〜♪」

その時、柚の背中から柚の意思とは関係なく翼が出た。

「…ほら、主人が怒っちゃった。早く殺すよ」

柚は翼を羽ばたかせ、その勢いで一気に間合いを詰めた。

「はい、終わり…♪」

「ヒ…ヒョウショウさん!!ぁ…あぁ…」

チョウコは怯えきった顔で逃げようとした。

しかし、柚から逃れられる筈が無かった。



一方紗月は…

「チクショウ!!どうしようもないじゃないか!!」

紗月が入っている檻は、水が少しづつ入って来ていた。

そして、地面に当たった瞬間凍る。

ついでに魔力を使うものは檻の中では使えない。

「武器も無いし、壁はかてぇし…。成す術無しか…」

紗月が半ば諦めていると…

「ダーテ様。任務を遂行し無事に帰還しました」

柚が帰って来た。

「柚!?柚!!」

「…紗月?」

「良かった…。この檻を壊してくれ」

紗月がそういうと柚は少しの間固まった。

「紗月…兄…さん…。ダーテ…」

柚は頭を抱えて膝から崩れた。

「柚。これ以上思い出すな。思い出したらお前の心のは壊れてしまう。手を取れ」

柚は恐る恐るダーテの手を取った。

「『きつくきつく封印しろ。過去の過ちを』これで大丈夫だ♪」

「……お前、柚に何させた!!」

「恰好見て分からない?一国の人全てを殺させたのよ」

ダーテにニヤッと笑った。

「な…なんでそんな事を!!」

「…本当の姿を取り戻す為よ」

ダーテはため息混じりに言った。

「一日に千人。それだけ切り刻めば柚だって本当の姿を思い出すわ。そして、自力であの座に就くわ」

「あの座って?」

「そんな喋ってて良いの?足首まで凍ってるわよ…♪」

ダーテは笑って言った。

「えっ!?うわぁ!!」

紗月の足は本当に足首まで凍っていた。
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