キアギス 続
「クソ…なんでこんな目に遭うんだよ…」

紗月は氷のかけらで足元の氷を壊しながら嘆いた。

「紗月。言い忘れたが、その俺檻の中では魔法が使えない訳じゃ無いぞ。今、お前が魔法を使えないのは、呪いのせいだ」

「…それって、使えるようになるのか?」

「知らないよ。Thousand curseなんて初めて使ったもん」

ダーテはガムみたいなのを噛みながら適当に言った。

「……。どうなんだろう…」

俺がため息混じりに言うと…

「柚ならどうにか出来る。あの人は私達と格が違う」

ダーテはそう言って紗月の足元の氷を溶かした。

「今回だけだ。後はあがけ。気分次第で助けてやる」

ダーテと柚は去って行った。

「…まさか、敵に助けてもらうとはな…」

そう言っていると、柚が来た。

「……兄さん。今からまた人を殺してくる。…じゃあ」

「柚待て!!逃げないのか!?」

「止めてよ。俺が逃げれば兄さんが殺される」

「ってか、兄さんって…」

「あぁ、かかった振りをしただけだよ。待ってて。もう少しでダーテの作戦が達成される。その時こそチャンスだ」

柚は真剣に言った。

「ぶっつけで行くから覚悟して。寸前で檻から出すよ」

柚はそう言って走って行った。

「可能性は0じゃない…けど、失敗したら世界が滅びる。いや…今は信じるしかない。あいつらがまだ俺に従ってくれるかを…」
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