キアギス 続
「なぁ、ダーテ。柚って天使じゃないのか?」

「しつこい!!もうすぐ帰ってくるから直接聞けと何回言わすんだ!今すぐ氷にしてやろうか!?」

ダーテから紗月が聞き出した情報。

それは、柚が天使じゃ無い事と、ダーテの作戦には必要不可欠な力を持っている事。

「柚は何者なんだ…?」

その時…

「ダーテ様…帰還…しました…」

柚が帰って来たが、腹部から血を流し、ガクガクと震えていた。

「『失われた血液と体力を補い、穴を塞げ』何があった?」

「囲まれて…魔法…封じられて…殺したと思ったら…後ろから…魔法銃で…撃たれて…」

魔法銃とは少しの魔力でも数倍にして弾と共に撃つ銃だ。

撃つ度に生命力が奪われるのだが、あの怪我だとどうせ長くは無かった。

「…分かった。暫く休め。代わりに私が行ってくる。紗月を見張ってろ」

「はい。分かりました」

柚は紗月の前に座った。

「柚…。…あのさぁ、お前って…悪魔なのか?」

紗月は恐る恐る聞いた。

「兄さん。例え、俺が何者でも俺の兄さんだよね?何があっても味方で居てくれる?」

「当たり前だろ♪」

「じゃあ、儀式の時に教えてあげるね」

柚はあえて紗月の質問に答えなかった。

「柚はどうしてこっちに来たんだ?」

「…その答えも、儀式の時に…」

「今は何も教えてくれないんだな」

その時、柚がピクッと反応した。

「黙れ!!いい加減静かにしろ」

「柚?どうした?」

柚が叫んだのと同時にダーテが帰って来た。

「コイツがうるさいんです!!」

「そうか。なら、水を倍にしよう」

檻の端から落ちる水の量が倍になった。

「柚。準備が調った。明日の昼にやるぞ」

「はい。あ、ダーテ様。暫く出掛けて良いですか?」

「あぁ、構わん」

ダーテは少し首を傾げてそう言った。

そして、柚は一礼して出掛けた。
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