キアギス 続
「柚…さん?柚さんですよね!!」

「ただいま。…帰って来ていきなりなんだけど、今から優秀な奴100人揃えられるか?」

「また、厄介事に巻き込まれたのですね。任せてください。それくらい出来ないと側近護衛隊長の名が泣きます」

そう言って、去って行った。

「…変わらないな。此処も…17年ぶりだ」

柚は辺りを見回した。

「もうすぐ、本当に帰って来れる…」

「柚さ〜ん!!集めてきました」

さっきの奴が帰って来た。

「そうか、じゃあ、事情と作戦を伝えるから聞いてほしい」

柚は淡々と喋った。


次の日昼
儀式直前

「柚。儀式はあと十分後だ。ゆっくりと休め」

「はい」

柚は真っ先に紗月の所へ行った。

「兄さん。十分後に始まる。今から出すよ」

そう言って柚は檻に手を当てた。

「『封印された力を解き放て』」

柚の魔力が少しずつ上がっていく。

「兄さん。このままだと完全に戻るまでに儀式が始まる。だから、出来るかどうか分からないけど協力して」

「あぁ、何をすれば良い?」

「えっと…」

柚は少し檻を触って、その一部を思いっきり殴った。

すると、いとも簡単に檻が壊れた。

「出て。………兄さん。堕天使になる気ある?」

「…それが仕方ないのなら」

「ありがとう。じゃあ、兄さんは俺に魔力を分けて」

「分かった」

紗月が魔力を分け始めた瞬間…

「うっ…く…」

と、柚が苦しみ始めた。

その時、バサッと柚の背中から漆黒の翼が出た。

それと、同時に世界が闇に包まれた。

「ありがとう兄さん。もう、十分だよ」

「えっ?あ、うん」

「『契約されし百人の下部達よ。今此処に現れろ』」

柚が唱えると百人の人型が現れた。

そして、いっそう闇が濃くなった。

「柚?何が起こってんだ?」

「兄さん。一緒に来て」

柚は紗月の問いに答える事なく百人の下部を連れて走り始めた。

「来ましたね。魔王・柚」

「世界の均衡を崩そうとする者を野放しには出来ない。堕天使ダーテ。お前を殺す」

「それは、魔王として?それとも偽天使として?」

「魔王としてだ。キカ・アイカス」
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