キアギス 続
俺は兄さんを置いてアクアギスに入った。

水の楽園と言うだけあって砂漠の中にも関わらず、ひんやり涼しい。

「兄さん!!此処涼しいよ!!」

「あれ?待った!!やっぱ来ないで」

俺は街の異変に気が付き叫んだ。

「どうしたんだ?」

「呪が張り巡らせてあるんだ!!入って来ちゃ駄目だ」

そう、この街の水路

それが魔法陣になっていた。

そして、俺の目の前にはあるはずの無い巨大な門があった。

触り心地もはっきりしている。

(キャハハッ!!見て燈(あかり)引っ掛かってる奴がいる〜♪)

(碧(みどり)…はしゃぎすぎよ。でも、これで褒めてもらえる…♪)

「誰だ!?」

(あら?今呼び合ったから分かるでしょ?馬鹿なの?)

「なっ!!誰が!?」

(貴方しか居ないでしょう?やっぱり馬鹿だわ♪)

(燈!!いい加減にしなさい。消されたいの?)

クスクス笑う燈に碧が一喝。

(あぁ〜すみませ〜ん!!)

(それより、柚。貴方には任務があるわ)

「任務?」

(そうよ。復唱して貰えば良いわ。ヒグトヌワロルリソウ。ナスゾヲキヨ、キトハノワ(水の封印を解く。発動せよ、死の魔法))

「『ヒグトヌワロルリソウ。ナスゾヲキヨ、キト…』」

これって…禁魔法の最上級じゃん!!

やば……これ、世界中の生物全部殺しちゃうじゃん!!

「『…ギミホルアロギム!!(呪文解除)』」

(…チッ…失敗したか…)

(あと少しだったのに…)

「なっ!!何をさせようとするんだ!!」

(あら?ちょっと使ってみたかっただけよ?)

「使ってみたかった!?そんな事の為に…!!」

「柚!?どこ行ったんだ?」

兄さんの慌てる声が聞こえた。

「兄さん!?この街に入っちゃ駄目だ!!」

「柚?街って…?」

(キャハハハッ!!この街は私達が選んだ人しか入れないのよ♪)

(真の姿を隠してる者しか入れないのよ〜♪)

「…じゃあ、俺の正体知ってるのか?」

(知ってるわよ)

「そうか…。ところで、そろそろ正体を現せてくれ」
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