【短編】幼馴染達のとある1日
「いちいち注文が多いんだよ。
もうめんどくさいしこれでいいだろ」
「めんどくさいって……ひゃっ!?」
「……なぁ、これってどうやって自撮りすればいいの」
「か、かかかカメラはじ、どりできないって」
「……なんでそんな顔真っ赤」
「うるさい!」
どうやらツーショットだとカメラも使えそうにない。
「もうスマホでとるから……」
「ん」
私がポケットから取り出したスマホをカズヤがさらりととっていく
「じゃあとるぞ」
「う、うん」
肩を抱かれ、私の頬にカズヤの髪から垂れたしずくがポタリポタリと当たる。
「…………」
「はいちーず」
棒読みよろしく発せられた言葉とともにカシャリ、と軽快な機械音が洗面所に響く。
だけどもはや私は自分の早まる鼓動しか聞こえなくて。
(おそるべし風呂上り…)
これからは安易に友達の頼みは受けるべきでない、と私は心に深く誓った。