【短編】幼馴染達のとある1日
マスクの違和感にも慣れてきた、昼休み。
お弁当を広げたところで、いつも一緒にご飯を食べるグループの一人の子が、
「ねぇねぇ、カズヤ君ってもうすぐ誕生日だよね?
誕生日に何か贈り物できないかなぁ」
「さぁ、どうだろう…。
でもカズヤがプレゼント受け取ってるところあんまり見たことないしなぁ…」
「えーそこはさ、イケメンの幼馴染として代わりに渡しといてよ!」
「やだよめんどくさい」
「てか、美也は?なんかあげるの?」
「あげるっていうか…毎年誕生日に私がカレー作るのが恒例だから今年もそれじゃないかな」
「何それその仲良し熟年夫婦みたいな」
「いや、その例えの方が何それなんだけど…」
「いいなぁー!あんな超絶かっこいい人が前に住んでるとか!
今度カズヤ君がお風呂入ってるとき盗撮してきてくれない?」
ぎょっとして友達の顔見ると真顔でこちらを射止めそうな位見ていて。
ふと周りを見回すとほかの子も期待を含めた視線をこちらに向けている。
んー…まぁべつに写真くらいならいいかなぁ。
「……妥協して風呂上りで」
「まじで!?」
……ザワ、
<キーンコーンカーンコーン>
どこから聞いていたのか、私が最後に発した言葉を言い終わるやいなやクラス中の女子が押し寄せてきたところで昼休み終了のチャイムが。
(……よかったのかな、これで…)
思いのほかの女子の食いつき具合に早くも後悔し始める私だった。