【短編】幼馴染達のとある1日
(私がカズヤに声かけにくくなるから遠慮してほしいんですけども…)
逆ナンされている最中にカズヤに話しかけにいかなければならない状況はこれまでも何度かあったが、皆一様に私の顔を見て露骨に顔を顰めるので毎回うんざりするのだ。
一度だけ、カズヤを放って帰ろうとしたこともあったけどカズヤが拗ねるのでそれもできない。
(しかも当の本人は私が放って帰った理由もまったく気づいていない。)
(あ、よかった・・・あきらめたみたい。)
私がレジを終えるまでには決めたらしい、まだなにか言っていたけどあきらめたようだ。
「かっこいい彼氏を持つと大変ですね」
「・・へっ?」
驚いて声をかけられたほうを見ると、私より少し年上に見えるコンビニ店員さんが苦笑いしてこちらを見ていた。
「あ・・・あはは。
そうですね。大変です」
突然のことに彼氏という部分を否定できず返事をすると店員さんはがんばってくださいと言ってくれて。
笑いながら会釈してコンビニを出ると、まったく何も知らないカズヤは
「みー、帰ったらパズルしよ」
「えー、一人でやってよー。
私明日の宿題まだ終わってないし…」
カズヤ用に買った紙パックのカルピスを渡しながらうんざりとため息をつく。
「今日は1000ピースな」
「・・話聞いてる?」
このマイペース野郎め。