【短編】幼馴染達のとある1日
ちなみに去年、カズヤの誕生日にはバレンタイン並にプレゼントがあふれていた。
本人は物は必要なもの以外余計なものは持たない主義らしくえらく迷惑がっていたが。
ただし悲しいかな学校の女子たちはそんなことはお構いなしに、今日も今日とてカズヤへのプレゼント選びに奔走している。
そして同じく悲しいかな私は本人には聞けない女子達から日々好みを尋問よろしく聞かれているのである。
「みー」
と、昼休みもようやく半分に差し掛かり、一通りの尋問が終了しげんなりとしていたところでドアから聞き覚えのある声が。
そして、ざわりとにわかに教室が色気づく。
「あれ、どうしたの?」
周りの女の子たちがほほを染めてきゃいきゃいしている中で、私はカズヤのいる廊下まで出ていく。
教室で話すと視線がうっとうしいのなんの。
…まぁそれは廊下でもあまり変わらないが。
「電子辞書忘れたから貸して」
「えーちょっと、前も貸したじゃん。
電池少ししか残ってないんだからあんまり使わないでよ」
「ん」
廊下に設置してあるロッカーから電子辞書を取出して手渡す。
「……なに、帰らないの?」
「まだ昼休み残ってるし。
みーの席どこだっけ?」
と、本人は教室からの熱視線に全く気付かずに入っていく。
……ここまで無自覚だといっそ怖いわ…。
「……窓側二列目後ろから三番目」
ただし、ちょっとだけうれしいと感じている私も相当な幼馴染バカなのかもしれない。