【短編】幼馴染達のとある1日
「ん?」
振り向くのも面倒とばかりに少し首をかしげて私を見下ろす。
「誕生日、何がほしい?」
クラスの、いや廊下にも遠巻きで見ている女子の視線から、少しでもプレゼント選びになればいいと思い聞いたのだが。
すぐにやめればよかったと後悔する。
「またその話?なんもいらないって」
「私以外でも、プレゼントあげたいって言う人いるかもしれないでしょ?
ちょっとはヒントとかないの?」
はぁー…とため息をつく幼馴染。毎回女子から質問攻めされるこっちのほうがため息つきたいわ。
「あ」
と、なにやら思いついた様子。
くるりと振り向いたカズヤはなにやら珍しく意地悪く笑っていた。
「なんでもいいの?」
「うん」
「じゃあ、みーで」
「は……」
はぁ!?と素っ頓狂な声をあげる前に、女子からの悲鳴が上がり、さらに同じく学校のチャイムが鳴り。
「別にいつもどおり家にいてくれたらいいよ」
こっそりと、耳元でそうつぶやいて騒ぎの元凶はフラリと自分の教室へと戻っていった。
「おーい、なんだこの騒ぎは。早く席に着けー」
先生が来てもまだうるさい女子を尻目に、(あいつ、私が質問した意味わかってて答えたな……!)
地味にイタズラ好きな幼馴染の性格を思い出して、はぁー……と長いため息をついた。