【短編】幼馴染達のとある1日



次の日の土曜日。の、10時。


思い出してみればカズヤと二人で一日出かけるのは久々だ。
思う存分着せ替え人形にしてやろうと一人企みつつ、向かいの家のインターホンを鳴らす。


『はい』


「おはよう。用意できてる?」


『うん、今でる』


インターホンがガチャリとなったかと思うと、すぐにドアが開く。



「おはよう」


「おはよう………えっ」


ドアから出てきた幼馴染が視界に入ったと思うと、いつもと違う違和感に思わず声が漏れる。


「なんであんた……ワックスしてんの…」


よくみてみると、頭上の部分がなんだか……もさもさしてる。
うん、どう表現したらいいかわからないけど、とにかくザ、イケメン、という感じ。
服装もカズママがチョイスしたのか下は黒めのジーンズに上が緑のニットに中で白シャツを着ていて、襟が見えている。



「母さんに今日は気合入れろとか意味わからない事いいながらわしゃわしゃされた」


「わしゃわしゃされたって…」



カズママ………何を期待しているんだろう…。



「と、とりあえずいこっか」


「うん」



いつもよりなんだか2割り増しキラキラしてるカズヤに(普段こいつはまったくオシャレの気がないのだ。)とぎまぎしつつ、すれ違う女子の視線に早くもいやな予感をひしひしと感じた。




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