【短編】幼馴染達のとある1日




「よーし、どこから今日行く?」


「別にどこでもいいよ」


「じゃあとりあえず上からぶらぶらしながら降りていこっか」



そんなこんなで、ショッピングモールに到着。
今日はカズヤの買い物なのに、久々に来たせいかレディースばかりに目が奪われる。



「いたっ」


横ばかり見ていたせいでいつの間にか前を歩いていたカズヤにぽすんと顔から体当たりする。


「っ、何してんだよ」



くすくすと笑うカズヤ。



「うるさいなぁ」


「ほら」


自然な動作で、右手を差し出される。


「……私、もう小学生じゃないし」


「はぐれるから」


「………」


友達には『彼氏じゃない、幼馴染だ』と口すっぱく言ってきたけれど、こういうとき断れないんだから、人のことをいえないかもしれない。

(前もって言っておくけど、二人とも下心は皆無だ。)


なんだかんだで、中学くらいまでは学校に行くときですら手をつないでいたからなぁ。
カズヤはそういうことで周りを気にするタイプじゃないし。

現に、手をつないだ瞬間どこからかため息が聞こえてきたような。

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