それでもキミが好きだから…

『おやすみ~』

と、言ったものの…

寝れるはずないじゃん!

こんな急に『海外に行くことになっちゃった』は、さすがにナイでしょ…

お父さんがいるなら話は別だけどさぁ…

私の家はお父さんがいない。

私が幼稚園に入学してからすぐ、私と同じ病気で死んでしまったらしい。

たしか、慎吾もお父さんいないって言ってたなぁ。

そんなことを考えていたら、

「美依~!ごめん、もう1回おりてきてくれる?」

と、お母さんに呼ばれた。

「なに?」

「あのさ、明日家を出なきゃいけなくなっちゃった。」

「え!?」

「本当にゴメンね…明後日から海外で仕事なのに明後日に家を出たら間に合わないからさ…」

「うん、分かった。我慢する!」

「美依、ありがとう。」

「そのかわり、お土産忘れないでよ~♪」

「OK,OK!!」

「じゃあ、おやすみ~」

「うん、おやすみ~♪」

自分の部屋に戻って来てから思った。

私、よく泣かなかったな~って。

1人でいるのだけは苦手なのに…

『我慢する!』って言ったけど多分我慢できないよ…

そうだ!


いいこと考えちゃった~!

どうしても1人で寂しくなっちゃったら慎吾の家に行けばいいんだ!

私、あったまいぃ~♪

とにかく今日は寝よう。

そして明日、慎吾に相談してみよっと。
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